やまびこ大橋　　　

清川村宮ヶ瀬

半世紀前まで、中津川渓谷はハイキングの名所だった。秋も深まると、険しい深い谷は紅葉に彩られ、大勢の若者が訪れた。岸辺には茶店や、釣り客相手の店がいくつも並んでいた。 　渓谷美を守れという声をよそに１９７０年頃からダムが計画された。２０００年には高さ１５６ｍ貯水量二億トンという首都圏最大のダムが竣工した。 　湖岸の急な斜面には、植林された針葉樹もあれば、昔からの広葉樹もある。緑のままの針葉樹と紅葉した広葉樹がまだら模様を織りなしている。 　湖水には長さ２４５�bのやまびこ大橋がかけられた。橋の右方には湖底に沈んだ集落の人々が移った新しい街がある。 　橋のかなたには三峰山や高畑山が見える。その先には、丹沢の主峰や大山があるが、ここからは見えない。