遊 行 坂 横浜市中区打越・南区中村町
横浜は坂の町。海抜二、三ｍの平地と四〜五十ｍの台地を結ぶ。
絵にあるように、坂の途中に遊行寺がある。踊り念仏の時宗の総本山、藤沢の遊行寺の説教所として明治五年に建てられた。寺の名前から、この坂は「遊行坂」となった。
「宮本武蔵」を書いた吉川英治は少年時、この坂の辺りに住んでいた。だから、彼の小説にこの近くの町や坂の名前がよく出てくる。
台地の上や裾をバスが走るが、狭い坂道を走るバスはない。だから、坂の途中に住むと、坂を上るか、下らないとどこにも行けない。
坂の下ではお母さんが小さい子二人を励ましていた。
乳母車を押すお母さんも「健康の為にガンバロウ」と自分に言い聞かせているようだ。