安曇野ちひろ美術館から　　   長野県北安曇郡松川村西原  　2019年2月


　三月の雨の日、安曇野ちひろ美術館を訪れた。｢ねこの画家｣安泰(やすたい）展が開かれていた。
　安泰は一九三一年に新ニッポン童画会を設立した日本の童画界の草分け。戦後も真っ先に童画の再興に取り組んだ。
　大佛次郎作、安泰画の｢すいっちょ猫｣という絵本がある。子猫があくびをした時にスイッチョが口に飛び込んでしまい、おなかの中で｢スイッチョ、スイッチョ｣と鳴く話だ。子供が幼い頃｢読んで、読んで｣と何度もせがまれ、内容をそらんじてしまう位であった。
　カフェで休憩すると、冬だから、美術館の庭の芝生も生け垣も黄色や茶色。
　遠くに八ヶ岳、蓼科から戸隠に連なる山脈がある筈だが、霧に遮られていた。