旧時報鐘楼　　群馬県伊勢崎市曲輪町　　2022年10月

大正時代、未だ時計は一般には行き渡っていなかった。その当時、町長は町民が時間を守る工夫を伊勢崎出身の薬種商小林桂助に相談。彼は横浜からの｢薄荷｣の輸出で成功を収めていた。 　そこで小林氏は一九一五年(大正四)高さ約十五ｍの鉄筋コンクリート造、外壁煉瓦積みの｢時報鐘楼｣を寄付。これは現存する群馬県最古の鉄筋コンクリート構造物だ。 　鐘は中台寺の物を転用。午前六時、正午、午後六時に鳴らされていたが、一九三七年警察署望楼(一九四七年まで警察と消防は一体だった)に設置されたサイレンの吹鳴に取って替わられた。　　釣鐘は戦時中に供出された。 　塔屋部分は戦災で焼失したが戦後寄せ棟造りで復旧。一九九〇年に創建当時のドーム状の屋根も復元された。